三重県・鳥羽からフェリーでわずか20分。
ふらっと出かけられる距離に、のんびりとした時間が流れる小さな島、「答志島」(とうしじま)があります。
入り組んだ細い路地に残る昔ながらの風景、思わず深呼吸したくなるほどの大自然。
そして地元で獲れたばかりの新鮮な海の幸。
今回は、愛犬と一緒に日帰りで訪れた答志島の旅を紹介します。
グルメに街歩き、おみやげ探し、そしてこの島ならではの文化にふれながら、ゆったりとした島時間を楽しんできました。
この記事を読み終える頃には、「ちょっと行ってみようかな」と、あなたもきっと思っているはずです。
答志島とは?アクセス抜群の三重県の離島

答志島は、三重県鳥羽市の沖合、伊勢湾に浮かぶ小さな離島です。
鳥羽マリンターミナルから定期船でおよそ20分。アクセスも良好で、気軽に訪れることができます。
面積は約6.98平方キロメートル、人口は約2,000人ほど。
島内には「桃取(ももとり)」「答志(とうし)」「和具(わぐ)」という3つの集落があり、それぞれに異なる雰囲気と文化が息づいています。
周囲はリアス式海岸の美しい地形に囲まれ、透明度の高い海と豊かな漁場に恵まれていることから、「漁師の島」としても知られています。
伊勢海老、アワビ、サザエ、鯛などの新鮮な魚介が水揚げされ、島内には海の幸を味わえる食事処も点在。

なかでも、ちりめんじゃこは島の名産品のひとつ。
水揚げされたばかりのシラスを丁寧に茹でて干したちりめんじゃこは、風味豊かでごはんのお供やお土産にもぴったりです。地元の加工場や商店で購入できるので、訪れた際はぜひチェックしてみてください。
古い町並みや細い路地が残る集落を歩けば、どこか懐かしいような、ほっとするような景色に出会えます。
自然、暮らし、美味しいものがぎゅっと詰まった答志島は、日常から少しだけ離れて静かな時間を過ごしたい人にぴったりの場所です。
答志島へのアクセス方法|市営フェリーで楽々20分

答志島へは、鳥羽駅から徒歩約5分の場所にある「鳥羽マリンターミナル」から市営定期船に乗ってアクセスできます。
マリンターミナルの隣には大きめの有料駐車場もあるので、公共交通機関でも車でもアクセスしやすいのが嬉しいポイント。
フェリーは1時間〜1時間半おきに運航されており、おすすめの目的地は「和具」(わぐ)または「答志」(とうし)。
どちらも島内の別々の港ですが、歩いて行き来できる距離なので、旅のプランに合わせて選んでOKです。
ちなみに和具は比較的お店が多く、飲食店も点在しているので、初めて訪れるなら和具行きがおすすめです。

ペット同伴もOK?フェリーの乗船のコツ

運賃は片道550円(大人)で、所要時間は約20分。乗船チケットは当日マリンターミナルの窓口で購入できますが、便数が限られているので、事前に時刻表を確認しておくと安心です。
また、ケージに入れた状態であればペットの同伴乗船も可能とのこと。ルールが変更される場合もあるので、最新情報は公式サイトなどで事前に確認することをお勧めします。
(地図出典:鳥羽市営定期船航路図)
フェリーは日中に複数便運航しており、およそ20分ほどで答志島に到着します。
乗船時間も短いため、日帰りでも十分に満喫できます。
絶景の海や美味しい海鮮丼を食べに、フェリー旅を楽しみながら答志島へ向かってみてはいかがでしょうか。
和具港でスタート!答志島日帰り旅レポート

佐田浜から和具へ!
この日は10:40発のフェリーに乗船し、約20分で答志島の「和具港」に到着。
港に降り立つと、早速すぐそばの海岸でワカメを茹でている様子が目に入りました。
茶色だった海藻が熱湯にくぐらせることで鮮やかな深緑に変わっていくのがわかり、つい見入ってしまいます。

ランチの事前の下調べはあまりしていなかったのですが、Googleマップで気になるお店を見つけたので、真っ先に向かいました。
まるみつ寿司の海鮮丼|地元で人気の絶品ランチ
和具港から歩いて数分の場所にある「まるみつ寿司」は、観光客向けというより地元に根づいた雰囲気のお寿司屋さん。
外観はどこか懐かしさを感じさせる佇まいで、店内に入るとすでにカウンターは賑わっていました。
訪れたのは平日の11時過ぎ。
まだ早い時間にもかかわらず、すぐに満席となり、地元の方々も次々と昼食に訪れていました。
和具港に着く時間をあらかじめ決めてある場合は、予約しておくのがおすすめです。
カウンター席に案内されると、目の前には大きなタコの足がどん、と置かれています。さすがタコが名産の島。
これから出てくる料理への期待が一気に高まります。

待つこと数十分。
運ばれてきたのは、鮮度抜群な刺身が乗った海鮮丼。

丼の中央には、生け簀から取り出したばかりの車海老が。
プリッと透き通るようなその姿に、思わず見とれてしまいます。
鯛、ブリ、サーモン、マグロ、イカなど、新鮮な魚が美しく盛られています。
素材の一つひとつに丁寧な下ごしらえがされており、数々の海鮮を満喫できる、贅沢な一杯でした。
セットのお吸い物には魚のアラからとった出汁が使われていて、やさしい味が体にしみわたります。
見た目も味も大満足の、記憶に残る一品となりました。
※まるみつ寿司さんではペット同伴での食事はできないため、同行者と交代で入店するなど、状況に応じた対応をおすすめします。
ヤマキ勢力菊次郎商店で答志島名産のお土産ゲット!

食後、まるみつ寿司のすぐ隣にある工場のような建物をのぞいてみると、ヤマキ勢力菊次郎商店さんの工場を発見。
ここでは、答志島名産のちりめんじゃこやわかめを購入することができました。
ちょうど訪れた時は、港から運ばれてきたばかりのわかめが続々と搬入されていました。

茹で上がったわかめは驚くほど肉厚。
ずっしりと重みがあり、冷凍品を思わずたくさん買ってしまいました。

観光地の土産物とはひと味違う、地元の日常に出会えるのも、こういった港町ならではの魅力です。

答志島の神社を巡る|御朱印や橋の先の静かな時間
美多羅志神社|御朱印は次回のお楽しみ

昼食も終わり、思いがけずお土産も買えたところで美多羅志神社へ。
趣味で御朱印を集めており、答志島にある神社の御朱印はぜひいただきたいと思ってたのですが、誰もおらず、残念…
もらい損ねてしまったので、こちらの御朱印はまた来る時があれば要リベンジです。
朱色の橋の先へ|八幡神社と海の風景

次に足を運んだのは、朱色の橋を渡った先にあるもう一つの神社です。
神社自体は階段を登ったところにあるのですが、残念ながらそこからは開けた景色は見えませんでした。
階段から眺める鳥居がいちばんの見どころです。
この島はどこにいても潮風が感じられます。
また、あらゆるところで収穫されたわかめを茹でられており、さすが漁業が盛んな島なことがひしひしと感じられます。

マルキ山下吉松商店
答志港の近くの路地を歩いている時に、買い物ができるお店があると住民とおぼしき方に声をかけたところ、スーパーのようなお店は全くないとのこと。
ただその方は、マルキ山下吉松商店でちりめんじゃこなどを販売されていると伺い、早速行ってみました。
とにかくお手頃価格で大ボリュームのちりめんじゃこが購入できるのが、この答志島の魅力でした。
さすが生産地です。

この店を一度訪れると、島外からみなさん電話注文されるとのことです。
帰って食べましたが、その理由も納得。
臭みが全然なく、一度食べると、リピートしたくなるおいしさでした。

答志島は路地がとにかくエモい。
自分が知らない時代までタイムスリップして戻ったかのようです。
ちなみに、島のあちこちで見かける「◯八(マルハチ)」のマーク。
これは、大漁や家内安全を願う魔除けの印として、昔から島で大切にされてきたものなのだそうです。
毎年旧暦の1月に行われる、八幡神社の祭礼「神祭(かみまつり)」では、若者たちが神聖な墨を奪い合い、その墨で家や船、路地の壁などにこのマークを描いているそうです。
「◯」は円満や平和、「八」は末広がりで繁栄を意味し、墨で描くことでお祓いの力が込められると言われています。
今もなお、暮らしのなかにこうした信仰や文化が息づいているところに、島ならではのおもしろさを感じました。
訪れた際はぜひ探してみてください!!
穴場スポット・答志島ブルーフィールドへ

鳥羽へ戻る前に、答志港から徒歩10分ほどの場所にある「答志島ブルーフィールド」へ足を伸ばしてみました。
小さなトンネルをくぐって進む道のりは、まるで秘密基地に向かうようなワクワク感があります。
観光地化されていない素朴さが残り、案内も最小限。まさに島の穴場スポットといった雰囲気です。
目の前に広がるのは、穏やかな海とぽつんと浮かぶ離島。
特に何かがあるわけではありませんが、人の気配がない静けさの中で波の音だけが響くこの場所は、普段の忙しさを忘れさせてくれます。

島の喧騒から少し離れて、ぼーっと海を眺める。
そんな時間も、旅のいい思い出になります。
フェリーで帰路へ|答志港から佐田浜へ

たっぷりと島時間を味わったあとは、「答志港」からフェリーに乗って鳥羽へ戻りました。
運賃は和具港と同じく片道550円で、所要時間も20分ほど。
帰りの船では、ほんのり潮の香りが混じった海風が気持ちよく、デッキから景色を眺める時間がとても心地よく感じられました。
短い滞在ながら、しっかり島を旅したという満足感。
またふらっと、今度は一泊でも訪れてみたいなと思わせてくれる、そんな日帰り旅になりました。
さいごに|ちょっと足を伸ばして出かけたくなる島、答志島

今回訪れた答志島は、どこか懐かしさを感じる風景と、島ならではの豊かな恵み、そして穏やかな空気に包まれた場所でした。
フェリーでほんの20分という近さながら、町の喧騒とは少し違う時間が流れていて、歩くたびに新しい景色や出会いが待っています。
日常とは全く異なる雰囲気や、美味しい海鮮との出会いに、思わず何度も「また来たいな」と思える旅になりました。
小さな路地を歩きながら、潮風に当たりながら、愛犬と一緒にただのんびり過ごす時間も、この島だからこその贅沢。
日帰りでも十分に楽しめて、ふとした休日にも気軽に出かけられる距離感。
そんな気軽さも、答志島の魅力のひとつだと思います。

また、美味しい「ちりめんじゃこ」や「わかめ」を求めて島へ渡るのも大アリです!
ぜひ次のお出かけ先に、答志島を選んでみてください。
きっと、普段の忙しさを忘れさせてくれる「島時間」が待っています。
それでは!